コンタクトセンターQ&A

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2021年7月


回答者

質問


コロナ禍で問い合わせが急増し、対応に苦労しました。また、台風の翌日なども突発的に問い合わせが増え、電話が取りきれないときがあります。急な問い合わせ増加時もサービスレベルを落とさず対応するには、どうしたら良いでしょうか?

回答


季節要因の繁閑差や、災害時やプレスリリース発表時など、突然の呼量増加に、どう対応すべきでしょうか。突然の問い合わせ増加により、ほかの対応業務への稼働が取れず、全体のサービスレベルを下げてしまうおそれがあります。そのため、呼量を平準化することが欠かせません。突然増加した問い合わせは、通常の問い合わせと分けて対応することが理想です。

また、常に重くのしかかる定型業務などは、センターに継続的な負担をかけています。簡単な手続きは FAQ や自動化への誘導で、全体呼量を抑え、安定した稼働を確保することができます。ベースとなる呼量を減らし、突発的な呼量増加を分散化することは安定したサービスレベルを維持する上で大変重要です。

一方でチャット対応やボイスボットの導入など、様々な打ち手を取っていくと、複雑になっていくのは顧客窓口です。そこで課題として挙がってくるのは、問い合わせ導線です。顧客を最適なチャネルに誘導する方法が「スマート・ルーティング」です。これまでは、FAQ やメールフォーム、チャットボット、電話など様々なチャネルを用意して、顧客に希望するチャネルを選んでもらっていました。「スマート・ルーティング」は、顧客の知りたいこと(コールリーズン)に応じて最適なチャネルへ誘導します。最適なチャネルへ誘導することで、顧客の解決労力を削減することが狙いです。自動対応チャネルを含めて案内できるため、呼量の分散や削減が可能になります。問い合わせ対応の負荷軽減とコスト削減が実現できます。

スマート・ルーティングを考える上で効果的なのが「ビジュアル IVR」の様なツールです。これまでの音声システムと連動した重厚長大なものではなく、その日の呼量変動に合わせて柔軟に現場の判断で導線変更できるようなものです。顧客問い合わせをコールリーズンのボリューム変化に合わせて柔軟に最適チャネルへ誘導していくことを可能にします。

むやみに電話をかけられてしまう前に、その手前のWeb の世界で必要なヒヤリングを行い的確なチャネルを提案していく。コールリーズンによっては電話が最適なチャンネルとなりますし、別なコールリーズンでは FAQへの誘導が一番簡単な解決法となり得ます。

導線を考えるうえで一番大切なことは、問い合わせが多い内容から順番に表示するなど、顧客が迷わない工夫をすることです。例えば、損保会社の場合、事故受け付け用の電話番号を一番上に表示する。 なぜならば、お客様には迷わずすぐに電話をしてほしいからです。一方で急増した問い合わせで、FAQ を見てもらうとすぐに解決するような内容は、FAQ へスムーズに誘導することが一番です。

問い合わせ状況に応じて、臨機応変に表示する内容や順番を変更し、急な呼量増加でも顧客を待たせず最適なチャネルへ誘導する。導線を臨機応変に作れることは、打ち手の数も増やせるということです。これこそがスマート・ルーティングです。

継続的な自己解決比率の向上、突発的な呼量増加の平準化、そして様々なチャネルへの効率的な誘導。PDCA を繰り返しながらこの一連の取り組みの精度を上げていくことこそがサービスレベルの維持に繋がると思います。
(掲載:CCAJ News Vol.292)


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