前号からの続きを回答します。今までのパンデミックでおきたパラダイムシフトですが、1817年頃のコレラの時は社会インフラの整備(下水設備)が進み、2002年のSARSの時はEC・運輸・配達手法の発達・拡大が起きました。
2021年現在はと言いますと、消費者に対する企業や国の経済活動として、非接触、非対面、オンライン化などのキーワードが多く見受けられます。また、同時にEX(Employee Experience)も重視する、リモートワークの導入、隣席および正面の席を空ける等、社員への環境提供などのキーワードも多く見受けられます。これらは「3密の放置」という評判は企業価値を下げるという側面からの対策でもあると考えられます。
このように今回のパラダイムシフトの特徴は消費者のCXと同時に社員へのEXも実施する、または、実施する必要があるということです。さらに、今までのO2Oのオフラインをオンラインにつなぐという概念ではなく、オフラインで実施していたことをオンライン上で実現するという経済活動へと大きく変化しています。
コンタクトセンター業界でのAI活用で、今までと違う一番の流れは人がやっていたことをAIで代替できないかという検討の本気度が高くなってきていることです。顕著な例がVoicebotと言われる音声対話AIによるサービスを導入検討する企業が増えていることです。これは、消費者の購買活動が店頭からオンラインに移行していることによるセンターへの問い合わせ増加や、オンラインで昼夜を問わず利用できることが引き金になったと考えられます。また、3密を防止しながらコール増や24時間365日対応するため、オペレーターに代わりAIを導入して、CXとEXの両面を実現する目的で導入検討する企業もあります。今まであったChatbotの導入も増加傾向にありますが、コロナ禍での問い合せ手段として消費者は電話による対応を最も望んでいるというアンケート結果もあったことから、企業側も音声によるセルフサービス対応ができるAIを導入検討しています。
さらに今後はオンライン化が加速し、消費者のデータが今までに以上に企業に集まる傾向となります。そのため、パーソナライズされた対応が今まで以上にできるようになるため、データアナリティクスやテキストアナリティクスのAIの導入も加速し、より個々にあったパーソナライズサービスを提供していく企業が多くなると考えられます。
まとめますと、「CX」と「EX」を同時に実現することが今回のパラダイムシフトの特徴で、それらを実現するためにVoicebot、Chatbotなどのセルフサービス型AIが活用されていく。そして、オンライン化の加速によりデータアナリティクスやテキストアナリティクスの分析系AIの導入が加速され、今までより満足度の高いパーソナライズされたコミュニケーションサービスを24時間365日提供していく企業が増えてくと考えられます。
(掲載:CCAJ News Vol.290)
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