テレコミュニケーター(以下、TC)のパフォーマンスは KPI を使用して可視化することが可能です。TC の KPI としては AHT(平均処理時間)、ATT(平均通話時間)、ACW(後処理時間)、モニタリングスコア、「処理件数 / 時間」等が一般的です。
TC のパフォーマンスマネジメントで注意しなければならないことは、TC 自身の努力、能力が正確に反映されるKPI を使用しているかという点です。例えば、質問にあった「処理件数 / 時間」は、シフトが複数あるコンタクトセンターですと、シフト時間帯によって結果に格差が出ます。
具体的には、日勤帯と夜勤帯のシフトがあった場合、日勤帯は入電数が多く、夜勤帯は入電数が少ないケースが多いと思います。入電数に応じて TC の要員数は調整すると思いますが、それでも日勤帯と夜勤帯で完全に条件が同じにはなりません。そうなると、日勤帯の TC と夜勤帯の TC を同一の「処理件数 / 時間」で見てしまうと不公平となり、
TCの努力、能力だけではカバーできない部分が残ります。そのような KPI を使用することは避けた方がいいでしょう。
また、“各自の「処理件数 / 時間」を毎月掲示している”とありますが、全員のパフォーマンスをそのまま掲示することによるマイナスの影響を考慮する必要性があります。成績下位の TC は掲示されることに抵抗がある方もいるでしょうし、プレッシャーと感じる方もいるでしょう。
そうなると、パフォーマンス改善とならずにそれが嫌で離職してしまう可能性があります。そもそも、個人パフォーマンスを掲示して意識を高めるという方法は効果が低く、掲示されるだけで他に何もアプローチがなければ、パフォーマンス改善にはなかなか繋がりません。
TC のパフォーマンス向上のためには、KPI をベースにTC 全員に目標設定を行い、毎月の目標達成状況を確認し、フィードバックおよびコーチングを必ず実施するのが基本です。さらに目標達成状況と TC の処遇を連動させるとより効果的になります。
もちろん、その際の目標設定項目(KPI)は公平で TC 自身の努力、能力が正確に反映されるものであることが絶対条件となります。
定期的なコーチングをベースに目標設定、目標管理を行うことはコンタクトセンターにおいて必須であり、例え時間がかかるとしても、その様な仕組みを導入しなければ、全体のパフォーマンス改善を行うことは困難です。
(掲載:CCAJ News Vol.256)
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